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あなたは「ダイバーシティ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?「ワーク/ライフ・バランス」という言葉を目にしたことがありますでしょうか?
「ダイバーシティ」とは「多様性の受容」、「ワーク/ライフ・バランス」とは「仕事と私生活をバランスよく両立させること」をいいます。

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言葉を知らなくても、日々の生活の中で、人種、性別などが異なる人や障害を持つ人と共に生きていく環境について、考える機会があったかもしれません。また「仕事が忙しくてプライベートに取れる時間がない!」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。これが「ダイバーシティ」や「ワーク/ライフ・バランス」です。そう、「ダイバーシティ」や「ワーク/ライフ・バランス」は、他人事ではなく、自分のことであり、自分の大切な家族、友人のことです。
最近、ダイバーシティに取り組む企業が増えています。また政府は、ワーク/ライフ・バランスを積極的に進めています。それはどうしてなのでしょうか?
このトピックスでは、女性活用、子育て、政府や企業の取り組み、調査結果、社会の実情など、身近な出来事を通して、「ダイバーシティ」や「ワーク/ライフ・バランス」を、あなたと一緒に考えていきます。

2010年2月22日 ■「労働力人口を増やす『ダイバーシティ』と『ワーク/ライフ・バランス』」

日本の人口は2005年に初めて減少し、2006・7年は増加に転じたものの、2008年には再び減少となりました。

「総人口の人口増減数及び人口増減率の推移」は以下をクリックし、p.1「図1」をご覧下さい

人口が減れば働く人の数も減ります。
厚生労働省の発表によると、働く人の数を示す「労働力人口」の割合が、2009年は59.9%と、戦後初めて6割を下回ったことが分かりました。

「2009年の労働力人口」は以下をクリックし、「長期時系列データ」内【年平均結果−全国】をクリックしてください

労働力人口が減少した原因としては、少子高齢化が進み、現役を退く人が増えていること、また、ここ1〜2年は、不景気による厳しい雇用情勢を踏まえて、就職活動をしない人が増えていることが挙げられます。
働く人の数が減ると、企業は、人財の獲得が困難になります。また、これまでと変わらない生産量を確保することも、難しくなってきます。
働く人の数そのものが減っても、人材を継続して獲得し、企業の生産性を維持・向上するためには、2つの方法があります。
1つ目は「働ける人を増やす」こと、2つ目は「個人の生産性を高める」ことです。

■1.働ける人を増やす
働ける人を増やすには、「働く対象」を増やすことが必要です。
これまで日本で「働く対象」として考えられてきたのは、「日本人の障がいを持たない成年男性」でした。
しかし、グローバル社会の進展により、企業の経済活動においては、海外の動向を無視することができなくなっています。海外に市場を持つ企業も増えてきており、外国人を従業員とすることによる、国内外の状況を踏まえた商品開発や戦略立案が求められています。
また、高齢人口の増加は、障がいを持つ方の増加でもあります。障がい者に対する商品やサービスへの需要が増加することが見込まれ、障がいの有無に関わらず、日々を過ごすことができる環境の整備が期待されています。障がいは、社会生活におけるどのような場面で不都合を生じるのか、そしてどういった商品やサービスであれば対応できるのか。当事者である障がい者が、最も知識を有しています。障がい者を従業員とすることで、こうしたニーズに対応していくことが、社会から信頼を得ることにもつながります。
さらに、働いて収入を得る女性が増えたこと、消費の決定権における女性の関与が増えてきていることは、女性のマーケットの拡大を示唆しています。女性従業員が活躍できる企業には、女性消費者の動向を察知し、敏感に対応できる風土が醸成されています。
このように、「外国人」「障がい者」「女性」といった、多様な人々が自分の能力を活かして働くことができる、『ダイバーシティ』の実現は、単に「働く対象」を増やすだけでなく、これからの市場ニーズに企業が対応していく戦略にもなるのです。

■2.個人の生産性を高める
従業員一人ひとりの生産性を高めるには、会社全体で業務の無理、無駄を見直し、優先順位をつけることが大切です。そこに求められるのが、『ワーク/ライフ・バランス』の考え方です。ワーク/ライフ・バランスは、「仕事と家庭の両立」という言葉から、「勤務時間を減らして家事の時間を増やす」従業員のメリットだけで捉えられがちです。しかし実際は、企業にもとても大きなメリットがあります。なぜなら、勤務時間を減らすことは、不要な残業代や、残業により発生していた水道光熱費といった「無駄なコスト」を減らすことになるからです。さらに、業務を見直すことで、より効率的な体制の整備や人員配置を進めることができます。
また、残業なく働ける環境は、子育てや介護をしながら働きたいと考える人の就業を可能にします。これまでは家庭との両立が難しいために、働くことができなかった人たちを新たに雇用でき、優秀な従業員には、継続して働いてもらうことを可能とします。
『ワーク/ライフ・バランス』の実現は、厳しい経営環境を乗り越える、無駄のない企業体質を作ります。

■『ダイバーシティ』と『ワーク/ライフ・バランス』で、企業も従業員も満足
このように、『ダイバーシティ』や『ワーク/ライフ・バランス』を実現することは、企業にとっては、人材を継続して獲得し、企業の生産性を維持・向上できることになります。また従業員にとっては、職場で自分の力を活かし、家庭とも両立できる環境を手に入れることができます。『ダイバーシティ』そして『ワーク/ライフ・バランス』、さらなる取り組みの拡大が望まれますね。